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デイヴィス&LSOによる「ベンヴェヌート・チェッリーニ」

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ベルリオーズ最新作

リズムと色彩のカーニバル

レーベル:LSO Live
商品番号:LSO 0623(2SACD hybrid)
発売時期:4月下旬

巨匠デイヴィスがキャリアの総仕上げともいうべき段階に入り、手兵LSOを率いていままた手がけるベルリオーズ。シリーズ最新作の「ベンヴェヌート・チェッリーニ」は、前作「キリストの幼時」から半年後の2007年6月に演奏会形式で上演され、あらためて巨匠の傾ける情熱と驚くほど生き生きとした音楽づくりがガーディアン紙ほかでも大きく扱われて話題になりました。
ルネサンス時代に実在したフィレンツェの彫金師ベンヴェヌート・チェッリーニ(1500ー1571)の自叙伝にもとづくこのオペラ。その波乱に富んだ生涯を綴った内容に劣らず、ローマ帰りのベルリオーズが徹底的に自らのやりたいことをやりつくした結果、初演からたった4回で公演が打ち切りとなり大失敗に終わっています。
ヴァイイーとバルビエの台本は、主人公チェッリーニとテレーザの恋愛模様を軸に、これに横恋慕するフィエラモスカらの陰謀、さらに教皇より制作を依頼された像の行く末も絡み、見た目にも絢爛たる謝肉祭の描写さらには流血シーンありと、すべてが大団円を迎えるラストまでドキドキハラハラのストーリー展開が用意されています。
誰もがみとめるベルリオーズの音楽の真髄、すなわち爆発的なエネルギーの原動力となる鮮明で大胆なリズムおよび、華麗な色彩効果と密接な対位法処理に象徴される、驚くべき独創性は、本作にしっかりと息づいています。にもかかわらず、初演の折に聴衆がそうしたのとまったく同じように、その演奏至難さゆえに演奏家からも長らく遠ざけられ、上演はおろか配役することさえもほとんど不可能とされたのです。そして、デイヴィスによる旧録音(BBC響・1972年)から30年以上の時を経た今でさえ録音もけっして多いとはいえず、ましてや実演でかかることは稀というのが現状の「ベンヴェヌート・チェッリーニ」。
ところで、無念のベルリオーズがオペラのエッセンスを掬い取り、あらたに生み出された序曲「ローマの謝肉祭」にはいくつかの重要な主題が登場します。これらチェッリーニとテレーザによる愛の二重唱、謝肉祭の場面におけるサルタレッロのリズムと旋律などはそれでもほんのごく一例にすぎません。こんなものではまだまだとても収まり切らないほどオペラ全体は聴きどころの宝庫。
そしていま、このオペラの異常なテンションとほんとうの魅力を伝えることが出来るのは、まさしく巨匠デイヴィスをおいてほかにいないでしょう。しかもなんともすばらしいタイミングで、いまのかれはそれが実現可能なLSOとロンドン交響合唱団という願ってもない武器を手中に収めているのですから。さらにソリストについても云うことなし。タイトル・ロールにはネルソン盤でも同役を務めたクンデに、ノリントン盤でのテレーザ役も高評価のクレイコムと経験ゆたかなふたりを筆頭に、よくぞここまで揃えたという強力な布陣です。
デイヴィス会心の作、LSOとのあらたなる「ベンヴェヌート・チェッリーニ」。これぞベルリオーズのスタンダードにふさわしい傑作であることを教えてくれるアルバムがついに誕生となります。

ベルリオーズ:オペラ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」H.76a, Op.23
グレゴリー・クンデ(チェッリーニ)
ローラ・クレイコム(テレーザ)
ジョン・レリア(教皇クレメンス7世)
アンドルー・ケネディ(フランチェスコ)
イザベル・カルス(アスカーニオ)
ジャック・インブライロ(ポンペーオ)
ダーレン・ジェフリー(バルドゥッチ)
ピーター・コールマン=ライト(フィエラモスカ)
アンドルー・フォスター=ウィリアムズ(ベルナルディーノ)
アラスデア・エリオット(カバラティア)
サー・コリン・デイヴィス(指)ロンドン交響楽団&ロンドン交響合唱団
録音:2007年6月26 & 29日ロンドン、バービカンホール(ライヴ)
プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン /
エンジニア:ジョナサン・ストークス & ニール・ハッチンソン


=ベンヴェヌート・チェッリーニのあらすじ=
[第1幕:懺悔の月曜日と、その翌日の懺悔の火曜日]
(第1場)バルドゥッチの家
16世紀のローマ。フィレンツェの彫金師チェッリーニは、ローマ教皇クレメンス7世より命じられていたペルセウス像の制作が思うように進まず、担当の財務官バルドゥッチに再三の督促を受けていた。バルドゥッチの娘テレーザはチェッリーニに好意を寄せているものの、父はこの恋には反対している。思い悩むテレーザのもとへ、突然チェッリーニが現われ、驚く彼女に愛を語りかける。そこに偶然にも、恋敵で教皇付きの彫金師フィエラモスカが忍び込んできて、ほかに先客がいるのをみて物陰に隠れる。チェッリーニはテレーザに駆け落ちを持ちかけ、あす火曜日の謝肉祭の夜、コロンナ広場の道化芝居の席に自分は白の、弟子アスカーニオは茶色の僧侶の仮装でテレーザをさらいに行くからと告げる。喜んで同意するテレーザ。けれどもこれをフィエラモスカはすべて盗み聞きしてしまう。すると、突如父親のバルドゥッチが戻ってきて、テレーザの機転で逃げおおせたチェッリーニの代わりに、隠れていたフィエラモスカがつまみ出されてしまう。
(第2場)コロンナ広場、奥に芝居小屋
居酒屋でテレーザを想うチェッリーニと仲間の彫金師たちは酒を注文するも金がなく飲めずにいる。そこへバルドゥッチからの金を手にした弟子アスカーニオが登場するが、一同がその額の少なさに直談判しに出てゆくのと入れ替わりに、フィエラモスカが現われる。かれは友人のポンぺーオに当夜のチェッリーニの企てを話すと、ポンぺーオはかれらを自分たちが出し抜くことを提案する。やがて芝居小屋では財務官を皮肉った芝居が始まり、これにバルドゥッチが激怒してその場は大騒ぎとなる。この騒ぎに乗じて二組の白と茶の服の僧侶がテレーザに近づくが、どちらが本物か分からずテレーザは困惑してしまう。何者かに裏をかかれたと悟ったチェッリーニは剣を抜き、激しい格闘の末にポンぺーオを倒す。思いがけず殺人者なってしまったチェッリーニは、いったん捕われたものの、市中の灯火がすべて消える一瞬の隙を突いて逃走。またもや代わりに同じ白の僧服で仮装をしていたフィエラモスカが捕らえられる。
[第2幕:聖灰の水曜日の夜明けから日没まで]
(第1場)チェッリーニの仕事場
アスカーニオはテレーザを連れてチェッリーニの仕事場に戻ってきていた。早朝にチェッリーニもまた逃げ戻って来る。このままテレーザとともに逃げようとするチェッリーニのもとへ、バルドゥッチとフィエラモスカ、さらには教皇クレメンス7世までもが現われる。クレメンス7世はチェッリーニの罪状を聞くにおよんで、像の鋳造をほかのだれかに任せるように命じるが、とっさにチェッリーニはハンマーで教皇に依頼された像の原型を叩き壊そうとする。破壊だけは思いとどまらせようとする教皇に対して、さらにチェッリーニは完成のための1日の猶予と、完成と引き換えに自らの過失に対する赦免を願い出る。クレメンス7世は今夜までに完成させなければ絞首刑にするという条件でこの願いを聞き入れる。
(第2場)鋳造所
仕上げられなければ絞首刑という事態に気を紛らわそうとするアスカーニオ。チェッリーニがたった独りででも闘うことを自身に言い聞かせているところへ、フィエラモスカが現われ決闘を申し込む。もはや一刻の猶予もない状況の中、止めるテレーザを振り切ってチェッリーニは決闘へと向かう。チェッリーニが去ったあと、職人たちが現われ仕事が過酷なのに賃金が安いと、テレーザの懸命な懇願も聞き入れずサボタージュをはじめる。そこにふたたびフィエラモスカが現われたため、チェッリーニが殺されたものと思った職人たちが彼を取り押さえると、フィエラモスカの服から職人たちを買収するために用意した金貨がこぼれ落ちる。すると、こんどはチェッリーニが無事な姿を現し、ここにフィエラモスカの卑劣な工作に反発してやる気を取り戻した職人たちは、一致協力して像の鋳造に取りかかる。こうしてついにペルセウス像は完成。バルドゥッチもテレーザとの仲を認め、クレメンス7世は像のみごとな出来栄えに免じてチェッリーニを許す。一同歓喜に包まれるなか幕が閉じられる。