
シリーズ完結篇
超優秀録音
レーベル:LSO Live
品番:LSO 0601(SACD hybrid)
発売時期:11月下旬
数多くのファンが関心を寄せるLSO Live最大の呼び物、デイヴィスによるシベリウス・シリーズ。完結篇は2008年6、7月の最新ライヴによる第4番と、前作の第2番(LSO.0105、SACDはLSO.0605)と同じく、作曲者没後50年を翌年に控えた2006年9月ライヴの第1番というカップリング。
陰鬱で内省的、その斬新で難解な内容により、7 つの交響曲の中でも一般的に最もなじみが薄いとされる第4番は、そのじつ、シベリウスを心から愛する人たちが‘もっともシベリウスらしい’と口を揃えて語る傑作です。作曲に至る過程でのどの腫瘍の手術を終え、再発の不安と向き合いながら新しく人生を踏み出そうとする力強い決意。作品を理解する手掛かりは第4交響曲作曲中のシベリウスの日記にある次のくだりにも見られます。
「交響曲というものは、結局、ありふれた意味での“創作”ではない。むしろ人の生涯のさまざまな局面での信条を明らかにするようなものなのだ。」痛ましくもむき出しの魂の告白、真摯な自分探しに近いもの。シベリウスにとって交響曲は、なかでも第4 番はその性格が顕著な内容といえるでしょう。
死を意識してひたむきに生と対峙する作曲者の姿に自らを重ね合わせるかのように、デイヴィスはつぎのように述べています。
「シベリウスを指揮することは、ちょうど鏡で自分を見るようなものです。私は鏡をのぞいて、人生の無慈悲さを悟ります。それでも、私は先へと進み続けるための強さを見出すのです。シベリウスは人前では幸せでしたが、独りのときは落ち込みました。わたしと同じなのです。」
こうした心からの共感を胸に二晩に渡り演奏された第4番ですが、すでにガーディアン紙やオブザーバー紙でも伝えられるとおり、出来栄えはまさしく迫真そのもの。この日、念願であったシリーズの完結を万感の思いで臨んだ巨匠を前にして、信頼厚いLSOも燃えないはずがありません。冷え冷えとした感触と潤いを湛えた弦の美しさに、いつもながらの強力無比のブラスがこれに応えます。なお、フィナーレにおけるチューブラーベルズの楽器指定については、ここでボストン響盤と同じく、グロッケンシュピールと両方をユニゾンで使用しています。
この第4番とは対照的ともいえる明快な内容を持つ第1番は、両日共に後半、キーシンとのシューマンに続いて取り上げられ、デイヴィスがLSO首席指揮者として迎えた最後のシーズンのオープニングということでも注目を集めたもの。musicOMH.comのレヴューは、第2楽章のチェロ首席モレイ・ウェルシュを筆頭に、弦楽セクション、ティンパニ、ブラスといったLSOの反応を称える一方、やはりデイヴィスのシベリウスに対する本能的センスと熱い意気込みがお手本というほかないと絶賛していました。
前回から12年ぶり、手兵LSOとは2度目となる、ライヴによる巨匠デイヴィスのシベリウス全集。2002年9月収録の第6番以来、完成までに6年の歳月を要しましたが、じゅうぶんに待った甲斐はあったというべきでしょう。心底愛してやまないシベリウスに対するエキスパートの思いの丈が込められており、いずれ劣らず期待を裏切らない内容となっています。
シベリウス:
交響曲第1番ホ短調Op.39
交響曲第4番イ短調Op.63
サー・コリン・デイヴィス(指)ロンドン交響楽団
録音:2006年9月23日ー24日[第1番]・2008年6月29日ー7月2日[第4番]ロンドン、バービカンセンター(ライヴ・DSD5.1マルチチャンネルステレオ)
プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン
