Potsdamer Platz

ヤン・ラングレン、満を持してのカルテット作品
近年表現を深める、ルーツであるスウェーデンのトラッド的世界と
ジャズ的なアンサンブルとの出会いと融合
美しく、穏やかなパッションとノスタルジーが相まった秀作

  • アーティスト:Jan Lundgren
  • レーベル:ACT MUSIC
  • 品番:ACT-9831
  • ジャンル:ジャンルジャズ
  • 価格:オープン価格
  • 形態:CD

TRACK LIST

Jan Lundgren / Potsdamer Platz

1 Potsdamer Platz (5:20)
2 No. 9 (4:42)
3 Lycklig Resa (6:03)
4 Bullet Train (5:23)
5 The Poet (5:33)
6 Never Too Late (4:49)
7 Twelve Tone Rag (4:23)
8 Song For Jörgen (5:53)
9 Dance Of Masja (6:25)
10 On The Banks Of The Seine (4:43)
11 Tväredet (3:53)

メンバー:Jan Lundgren(p), Jukka Perko(as, ss), Dan Berglund(b), Morten Lund(ds)

★1990年代に彗星のようにシーンにあらわれ、デビュー作以来、日本でも高い人気を誇るヤン・ラングレンの最新作。
★ラングレンは2010年に母国で発足した《イースタ・スウェーデン・ジャズ祭》の芸術監督にも就任し、フェスティヴァル・ダイレクターとしても活躍。それとともに、レギュラー・ベーシストのマティアス・スヴェンソンと弦楽四重奏を加えた編成で同祭に出演。その名(副題)も『A Tribute to Jan Johansson』と、母国のレジェンド・アーティストへのオマージュ作品をリリースしたのも記憶に新しいところでしょう。
★本作は、そんなラングレンが満を持してリリースする新しいカルテットでの作品。
☆サックスには、フィンランドの注目株ユッカ・パーコ、ドラムには2000年から、ラングレンとタッグを組むモーテン・ルンド、そして、ベースにはあのレジェンド・グループEST(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)の一角としてあまりにも有名な才能、Dan Berglundが参加しています。
★作品は、近年のラングレンの路線の延長線上。デビュー当時は、ハリー・アレン、スコット・ハミルトンといったアーティストとも共演し、アメリカを原点としたバップ・マナーのスタイルを見せていましたが、近年は、スウェーデンのアーティストとして、ルーツを原点にした響きをジャズ的なものと融合。本作でも独自の音世界を切り拓いています。
☆サウンドは、一聴して、スウェーデンのトラッド的な音楽世界に誘うもの。端正にも、美しく織り上げられる音楽は、ノスタルジックであり、優しさに満ちたサウンド。北の大地の厳しさを感じさせるところもありますが、しかし、ノルウェイを中心にしたスタイリッシュな世界/フィンランドを中心としたモダンなものとは異なる温かみがスウェーデン流。スカンジナビアに位置し、数多くのアメリカ人ジャズ・アーティストを迎え、伝統を育んできたスウェーデンには、独特の安定感と、穏やかさ、緩やかな抒情が漂います。
★しかし、決してスタイルやコンセプトありきでないのは言うまでもありません。ラングレン曰く“自分の好んだミュージシャンと思うままに、なにか新しいものも感じながら演奏し、クリエイトされたのが、このサウンド。コンセプトは、その後に認識されるものにすぎない”とのことで、それだけに、シンプルな4人の歌心が響きます。
★中には、バルカン的な旋律も入り混じる異色の楽曲(M9)や、鋭い即興と4者の絡みを見せる演奏(M4)、テンポ・チェンジも自在にトリスターノを感じさせるような演奏(M7)も忍び込みつつ、統一された色彩感がある一作。4年前のミラノでのライヴで出会い、長年構想していたものを作品化したというだけに、今後のバンドの深まりも楽しみです。

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