◆フィンランド出身ピアニストTuomo Uusitalo、同国出身ドラマーOlavi Louhivuori、アメリカ･コロラド州出身のベーシストMyles Sloniker、からなるピアノ･トリオに、曲により、日本でも人気のテナー･サックス奏者、シェーマス･ブレイクが加わったカルテットになる。
◆UusitaloとSlonikerは現在NYを拠点とし、共に名店Smallsにも頻繁に出演する実力者。Uusitaloはリーダー作を2枚出しており、前作はスタンダード中心のスウィンギーな内容だった。Louhivuoriはフィンランドで最も人気のあるドラマーの一人で、特にトーマス･スタンコ･カルテットのメンバーとして知られ、最近ではソロでの来日経験もある。
◆今作は全てトリオのメンバーのオリジナルで構成されている。また、2,4,6,8,10曲目は全て1分台と短く、4曲目はLouhivuoriのソロ、他はトリオでのフリー･インプロのようである。1,3,5,7,9,11曲目にシェーマス参加。
◆ほぼスウィングなし。全体的にダークなコンテンポラリー系。複雑なリズムが絡み合う1曲目“Counterparts”、ルバートでシェーマスの泣きのソロが冴えわたる3曲目“Forgotten”、こちらもルバートだが少し明るい雰囲気もある5曲目“Song For Mr. Moorhead”など。特に面白いのが11曲目“The Aisle”で、美しいピアノとベースのハーモニーの上でシェーマスが調子の外れたスケールで吹きまくり、ドラムが煽る煽る！バラバラなことが同時に進み、最後…やられます。
◆シェーマスの好演も楽しめる、ピアノ･トリオ+ワンホーンのコンテンポラリー作品。