★SACDハイブリッド盤。好評のジョン・ネシリング指揮によるレスピーギの管弦楽作品集。当アルバムにはバッハとラフマニノフの編曲作品を収録しております。
★バッハのオーケストラ編曲版といえば、ストコフスキー編のトッカータとフーガ ニ短調 BWV565、シェーンベルク編の前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV552『聖アン』、エルガー編の幻想曲(前奏曲)とフーガ ハ短調 BWV537などが有名ですが、レスピーギもバッハのオルガン作品を編曲しております。
★前奏曲とフーガ ニ長調 BWV532は、前奏曲の豪快なペダルと同一音型をたたみかけるように反復する主題が印象的なフーガの非常に技巧的かつ煌びやかな作品ですが、レスピーギは巧みなオーケストレーションで立体的かつ豪華サウンドに仕上げました。木管、金管、弦楽器、そしてピアノも登場し、各パートの主題の掛け合いが聴きどころです。パッサカリアも実に見事です。あの低音主題による変奏曲の奥義を極めた最高傑作を、まるで『ローマ三部作』を思わせる優美で色彩的なオーケストレーションが魅力です。3つのコラールはライプツィヒ・コラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」およびシュープラー・コラール「わが魂は主をあがめ」「目覚めよと呼びわたる物見の声」の3曲をオーケストラ版にした作品。3楽章形式の組曲に仕上げており、レスピーギのセンスのよさを感じさせます。
★ラフマニノフの音の絵も聴きもの。作品33と作品39の2巻からなるピアノ曲からレスピーギが5曲を組曲形式にした作品。ラフマニノフの叙情的な旋律をレスピーギの見事なオーケストレーションで聴くことができます。
★1947年サンパウロ生まれの指揮者ブラジルのジョン・ネシリングは、ボダンツキーやシェーンベルクの血を引くという逸材で、バーンスタインやスワロフスキーの薫陶を受けております。自身の持ち味である情熱的かつ抜群のリズム感で、色彩豊かにレスピーギを振っております。
ジョン・ネシリングによるレスピーギ・シリーズ
レスピーギ:『ボッティチェリの三連画』、『黄昏』、交響的印象『教会のステンド・グラス』(BIS SA-2250)
レスピーギ:『劇的交響曲』、歌劇『ベルファゴール』序曲(BIS SA-2210)
レスピーギ:『第12旋法によるメタモルフォーゼ』、『地と精のバラード』、『シバの女王ベルキス』(BIS SA-2130)
レスピーギ:『ブラジルの印象』、『風変わりな店』(BIS SA-2050)
レスピーギ:『ローマ三部作(噴水・松・祭り)』(BIS SA-1720)
◆レコード芸術 2021年4月号 特選盤