★2020年のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの指揮者にも決定しているアンドリス・ネルソンス。ボストン交響楽団の音楽監督に加え、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターにも就任。2019年にはゲヴァントハウス管との来日も控え、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続けています。
この映像は、2018年ザルツブルク音楽祭の開幕を飾ったコンサートの模様。
冒頭には、ツィンマーマンのトランペット協奏曲『誰も知らない私の悩み』が演奏されました。5人のサックス奏者と電子楽器を要し、コラール、十二音、ジャズの形式を用い、意味深なタイトルは有名な黒人霊歌から取られたもの。ソリストには、数年前に新日フィルが同作品を演奏した際にも登場したトランペット界のレジェンド、ホーカン・ハーデンベルガー。相当な難易度の作品でありますが、圧巻のテクニックで聴かせます。メインのプログラムは、マーラー第2番「復活」。ネルソンスは同年この作品を集中的に取り上げており、雄弁かつ緻密に音楽を作り上げています。また、ウィーン・フィルならではの弦と管が渾然一体となった豊かで美しい響きを存分に味わうことができます。フィナーレでは、オケ、ソリスト、合唱全体が細部にまで統一され、パワフルにそして力強く演奏され、感動のクライマックスへと導きます。
◆レコード芸術 2019年9月号 特選盤