ストラヴィンスキー:「エディプス王」

〔超優秀録音〕
ガーディナーによるストラヴィンスキー
モンテヴェルディ合唱団の驚異的表現力が圧巻の 「エディプス王」
LSO弦楽セクション全開の 「ミューズを司るアポロ」

  • アーティスト:サー・ジョン・エリオット・ガーディナー
  • レーベル:LSO LIVE
  • 品番:LSO-0751
  • ジャンル:ジャンルクラシック歌劇
  • 価格:オープン価格
  • 形態:SACD Hybrid
  • その他の製品情報:DSD5.0 マルチチャンネル ステレオ

TRACK LIST

ストラヴィンスキー:
バレエ「ミューズを司るアポロ」
オペラ=オラトリオ「エディプス王」

ジェニファー・ジョンストン(メゾソプラノ イオカステ)
スチュアート・スケルトン(テノール エディプス王)
ギドン・サクス(バス クレオン) デイヴィッド・シプリー(バス ティレシアス) ベネディクト・カーク(テノール 羊飼い) アレクサンダー・アシュワース(バリトン 使者)
ファニー・アルダン(語り)
モンテヴェルディ合唱団男声合唱
ロンドン交響楽団
サー・ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)
収録:2013年4月25日& 5月1日/ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ)
プロデューサー:ニコラス・パーカー
レコーディグ・エンジニア、編集、ミキシング&マスタリング:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン

【LSOによるガーディナー生誕70年記念コンサート】 2013年4月25日、「サー・ジョン・エリオット・ガーディナー生誕70年コンサート」と銘打たれたバービカン・ホールの公演で、ガーディナーはロンドン響(LSO)ならびに手兵モンテヴェルディ合唱団を指揮して、ストラヴィンスキーの「ミューズを司るアポロ」と「エディプス王」を取り上げました。 なお、公演に先立ち4月14日には楽団の功労者でプレジデント、サー・コリン・デイヴィスが惜しまれつつ世を去っており、ガーディナー祝賀の舞台がはからずもデイヴィス追悼の式典ともなりました。 【ガーディナーとコリン・デイヴィス、そしてストラヴィンスキー】 ガーディナーは当日の公演プログラムのなかで、サー・コリン・デイヴィスについて、次のように追悼の辞を寄せています。 「非常に多くのイギリス出身の音楽家たちと同様に、わたしはサー・コリン・デイヴィスの鼓舞と指導に負うところがたいへん大きい。わたしが、デイヴィスの指揮のもと、バードとトムキンズの作品を初めて歌ったのが14歳のときだった。翌年、わたしは勇気を振り絞って、ホーランド・パークにあるデイヴィスの自宅のドアを叩き『指揮者になるにはどうすればよいですか』と尋ねた。デイヴィスの答えはこうだった。『まずは一旦帰って、それから《春の祭典》を勉強しなさい』と。わたしは、そうした。 ストラヴィンスキーはもちろん、サー・コリンが特別な親しみを抱いていた作曲家のひとりであり、わたしは彼の指揮した《3大バレエ》のすべて、協奏曲《ダンバートン・オークス》と2つの交響曲といったすばらしい録音を大切に心に留め置いている。 21歳の誕生日プレゼントにわたしは《エディプス王》のスコアをもらった。それから49年、残念なことにサー・コリンが世を去ってちょうど一週間が経つけれども、初めてこの作品を指揮する機会を得たことをとても感謝している。しかも、サー・コリンのすばらしきLSOとわたし自身のモンテヴェルディ合唱団との共演によって。 けれども、わたしがもっともサー・コリンを連想するのは、《ミューズを司るアポロ》なのだ。アポロは太陽の神、音楽の神、医術の神として有名だが、サー・コリン自身はある種のアポロ神的な人物(Apollonian figure)だった。」 【《エディプス王》と《ミューズを司るアポロ》】 古代ギリシャ神話をテーマにした「ミューズを司るアポロ」と「エディプス王」は、ストラヴィンスキーの新古典主義時代を代表する作品。 1927年に完成した「エディプス王」は、詩人ソフォクレスの原作に基づくジャン・コクトーの台本、声楽はラテン語、語り手はフランス語により、父殺し、実の母と通じたエディプス王の悲劇が描かれます。人の声を加えた大作を念頭に置いたというだけに、合唱の担う役割は大きく、さすがは精緻にして圧倒的な表現力をみせるモンテヴェルディ合唱団が凄絶な効果を上げています。さらに、語り手の名女優ファニー・アルダン(トリュフォー監督「日曜日が待ち遠しい!」、オゾン監督「8人の女たち」、ゼフィレッリ監督「永遠のマリア・カラス」カラス役)のフランス語の味わいに、ヴェテランの存在感が光ります。 弦楽オーケストラのためのバレエ音楽「ミューズを司るアポロ」は、「エディプス王」に次ぐ1928年の作品。強烈な前作とは対照的に、ゆたかなハーモニーとテクスチュアが特徴的な内容で、そのスコアの古典的な美しさに心を奪われたディアギレフをして「この世のものではなく、どこか天上からの音楽」と言わしめたともいわれます。じっさい、このコメントを裏付けるように、LSO 弦楽セクションによる目の詰んだアンサンブルと澄み渡るひびきに思わず言葉を失うほど。 【ガーディナー率いるLSO、モンテヴェルディ合唱団によるストラヴィンスキー】 ここ毎シーズン、LSOの定期公演への客演を重ねて好評を博しているガーディナーは、2011 / 12年のシーズンにはベートーヴェンの「合唱」&第1番を指揮、このときもモンテヴェルディ合唱団を帯同して、ハンブルク、ハノーファー、ミュンヘンを巡るドイツ・ツアーを成功に導くなど、現在に至るLSOとの結び付きにはかなりのものがあります。 ちなみに、ガーディナー率いるLSOならびにモンテヴェルディ合唱団は、ストラヴィンスキー・プログラムを4月22日にブリュッセル、23日にパリ、25日のバービカンを挟んで、28日にケルンでも演奏しており、これらの成果を盛り込む形で、最終的に5月1日のバービカンでのパッチ・セッションを経て、このたびのアルバムは製作されました。 ガーディナーとコリン・デイヴィス、そしてストラヴィンスキー。あらためて、なんともふしぎな巡り合わせを感じさせますが、ほかでもない自身の記念コンサートに臨むにあたり、指揮者の道を示してくれた師デイヴィス、ストラヴィンスキーの音楽へ思いを馳せていたガーディナーのこと、いつもの洗練された美観のなかにもテンションの高い演奏内容を期待できそうです。 ガーディナーは、やはりLSOとモンテヴェルディ合唱団とを指揮して、1997年にオペラ《放蕩児の遍歴》、1999年に《詩篇交響曲》のセッション録音をおこなってもいましたが、これまでのところガーディナーによるストラヴィンスキーといえば、もっぱら新古典主義的作風の演目で、そのすべてにすぐれた演奏を聴かせていたというのも興味深いところです。
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