J.S.バッハ:平均律クラヴィーア 第1巻/大塚直哉(オルガン)

J.S.バッハ:平均律クラヴィーア 第1巻完成300年記念
大塚直哉によるポジティフオルガンでの録音が登場!

  • アーティスト:大塚直哉
  • レーベル:WAON RECORDS
  • 品番:WAONCD-380
  • ジャンル:ジャンルクラシック器楽曲
  • 価格:オープン価格
  • 形態:2HQCD

TRACK LIST

J.S.バッハ:平均律クラヴィーア 第1巻/大塚直哉(オルガン)

[CD1]第1番~第14番
[CD2]第15番~第24番

大塚直哉(オルガン/ポジティフオルガン)
彩の国さいたま芸術劇場所有、2000年ガルニエ製、C-d3, 4stops
調律:Garnier №16, a=440Hz(楽器調律:マチュ・ガルニエ)

録音:2019年7月3-6日、さいたま芸術劇場 音楽ホール
[5.6448MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
Microphones : PureT Records current transmission microphones with Schoeps MK2H capsules,
designed and manufactured by Tadaharu Mouri 毛利忠晴 (PureT Records), 2015 (last modified 2018), Tokyo
Stereo setting : A-B pair microphones
Preamplifier : PureT Records PT-CMP01, designed and manufactured by Tadaharu Mouri 毛利忠晴
(PureT Records), 2015 (last modified 2016), Tokyo
AD converter : Mytek Digital Brooklyn ADC
Recorder : TASCAM DA-3000
Master Clock : Grimm Audio CC2
DSD/PCM to PCM converter : Weiss Saracon-DSD

★音楽の「旧約聖書」ともいわれるJ.S.バッハの平均律。2022 年は、平均律クラヴィーア 第1巻完成からちょうど300 年にあたります。これを記念して、大塚直哉がポジティフオルガンで演奏した、第1巻全曲が登場します。大塚直哉は、演奏はもちろん、トークや企画性豊かなコンサート、さらには指揮活動と、堅実かつ多彩な活動できわめて高い評価を得ております。ここでも、ポジティフオルガンという楽器の魅力を存分に活かしつつ、その知性と人柄までもがにじみでた、あたたかみのある演奏を聴くことができます。バッハによる厳密な対位法の世界をやわらかに解きほぐして展開、聴き手に極上の愉悦の時間をあたえてくれます。ブックレットには、藤原一弘氏による、調律と調性の歴史をふまえながら、曲集の歴史的意義などについて述べた詳細かつ読みやすい解説もついており、耳でよし、読んでもさらによし、の内容となっています。なお、欧文タイトル表記は、バッハの出版譜の表記どおり、「Das Wohltemperirte Clavier I」としております。
★=ライナーノートより=
 平均律クラヴィーア Das Wohltemperirte Clavier-この不思議な曲集名に出会ったのは、子供の頃のピアノのレッスンや発表会と関係したどこかのタイミングだったと思う。どこか惹きつけられる、しかしこのあまり意味のよくわからないタイトルを持ったこの曲集は、付き合っていけばいくほど、勉強していけばいくほど、バッハの「謎かけ」があちこちに仕掛けられた不思議な曲集であることを思い知らされる。
 「うまく調整・調律された」とか、「ちょうどよい温度・気分の」などの意味を併せ持つwohltemperirteという語がClavierにかかると、「うまく調整・調律された鍵盤楽器」という意味にもなれば、文脈によっては「適温の鍵盤」という意味にもなろう。練習前にはまず調律から、というチェンバロやクラヴィコード奏者の日常を思うと、またドイツの寒い冬、教会のオルガンの凍るような鍵盤の冷たさを思うと、なんだかいつでも調律がうまい具合になされていて、手のかじかまない、ちょうどいい温度の鍵盤楽器なんて・・バッハやバッハの周りの人たちの(そして、もちろん現代のわれわれも)夢見る「理想の状況」がうかがえて楽しい。この心地よい楽器で、24の調、すなわち「あらゆる調」(・・音楽理論上の話ではなく、オクターヴが12に分かれる通常の鍵盤の場合、長調と短調が12ずつの24の調は実質的に「すべて」の調を意味する)の音楽を楽しむ、というなんと大胆な仕掛けの作品であろうか。
 今回は、この作品の想定する「クラヴィーア」としてまず第1に考えられるチェンバロではなくて、(やはり候補の楽器のひとつではある)小型のポジティフ・オルガンで演奏することにした。大オルガンとはまた違った、チェンバロやクラヴィコードなどといった有弦鍵盤楽器と共通する機動力・柔軟性を持ちながら、かつ、空気を送って「息をする」楽器、つまり声楽との共通点もあるという特性を持つポジティフ・オルガンで弾いてみると、対位法のテクスチャーの浮かび上がり方が独特で、ほかの鍵盤楽器とは違ったものが聞こえてくる。
この曲集には、鍵盤の修行のために苦労する、という側面もあるが、もうひとつの、心地よい、うまく按配された鍵盤楽器によって、思いもかけない遠いところにまで連れていってもらう、という耳の楽しみもある。それを味わっていただけたらこの上ない喜びである。
大塚直哉

◆レコード芸術 2022年8月号 特選盤

Artist

大塚直哉(おおつか なおや Naoya Otsuka)プロフィール
東京に生まれる。ビクター少年合唱隊にて音楽の基礎教育を受けるほか、ピアノを原田 稔 、高橋泰子、岡野寿子の各氏に師事。東京藝術大学楽理科を経て、同大学院チェンバロ専攻を修了(博士:音楽)。また、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびオルガン科を卒業。これまでにチェンバロを渡邊順生、鈴木雅明、小林道夫、B.v.アスペレン、オルガンを今井奈緒子、早島万紀子、P.v.ダイク、W.ディーペンホルスト、J.v.オールトメルセン、廣野嗣雄、クラヴィコードをメノ・ファン・デルフトの各氏に師事。1999年に帰国後は、東京を拠点にチェンバロ、オルガン、クラヴィコードの奏者として活発な活動を行うほか、これらの楽器にはじめて触れる人のためのワークショップを各地で行っている。また、近年では「メサイア」(ヘンデル)、「ロ短調ミサ曲」(バッハ)などのバロック期の声楽作品を中心とする指揮活動でも高い評価を得ている。現在、東京藝術大学音楽学部教授、国立音楽大学非常勤講師、宮崎県立芸術劇場および彩の国さいたま芸術劇場オルガン事業アドヴァイザー。日本チェンバロ協会、日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会各会員。NHK FM『古楽の楽しみ』ご案内役。

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