★『Spes - 希望』(2L 110SABD)が話題を呼んだノルウェーの女声合唱団「カントゥス」の新作『ユグドラシル』。北欧神話の「世界樹」をテーマに作られました。豊かに茂り複雑に絡み合うトネリコの木からインスピレーションを得て作曲された多様な音楽語法と表現の作品が歌われます。
★ヘンニング・ソンメッロ Henning Sommerro(1952–)の《牡鹿》は、古代北欧語の詩集『エッダ』の「グリームニルの歌(Grímnismál)」の一節をテクストに作曲された作品です。「四頭の牡鹿もいて、彼らは首をうしろにまげ、樹の皮から若芽をむしって食べている……」。ザ・リアル・グループのメンバーだったアンデシュ・エーデンロート Anders Edenroth(1963–)の《樹の歌》は、神話の「樹」を現代の気候変動になぞらえて作詞作曲されました。マリアンネ・ライダシュダッテル・エーリクセン Marianne Reidarsdatter Eriksen(1971–)は、第二次世界大戦で荒廃した土地に樹を植える女の姿に希望を見るハルディス・モーレン・ヴェソース(1907–1995)の詩に作曲。美しいメロディで知られるシンガーソングライター、エルルン・ユースタ Ellrun Ystad(1965–)の《母に捧げる三つの詩》もヴェソースの詩に作曲されました。
★クリスティーン・ドンキン Christine Donkin(1976–)は、合唱に対する挑戦的な姿勢が刺激的だ、とカントゥスのメンバーがいう、カナダの作曲家です。世界樹を語る《円》は、カントゥスが彼女から求められて歌詞を書いた作品です。アメリカのエリック・ウィリアム・バーナム Eric William Barnum(1979–)は、2曲。スウェーデンの詩人ヴィクトル・リュードベリ(1828–1895)の詩に作曲された《ユグドラシル》とアメリカのサラ・ディーズデール(1884–1933)の詩による《満天の星》。ラグナル・ラスムセン Ragnar Rasmussen(1966–)の《天の砦を知っている》は、ノルウェー民謡をアレンジした作品です。トリュグヴェ・ブロスケ Trygve Brøske(1973–)の《ラタトスクル》は、鷲のことばを運ぶためにユグドラシルの上をかけまわるリスを描いたアリス・メージャー(1949–)の詩に作曲されました。
★松下功(1962–)は、指揮者のトーヴェ・ラムロ=ユースタ Tove Ramlo-Ystad と長年の友情で結ばれる音楽家のひとり。「アイヌ伝承の旋律と詩」による《カムイ》をこのアルバムに寄せています。フィンランドのミア・マカロフ Mia Makaroff(1970–)の《詩編9番》は、パレスチナの詩人マフムード・ダルウィーシュ Mahmoud Darwish(1941–2008)の詩がテクストです。イスラエルに占領された祖国を離れねばならない、その悲しみと祖国への愛を歌った作品です。
★録音セッションは、トロンハイムのラーデモーエン教会で2018年から2021年にかけて5回に分けて行われました。アルバム《幸いなるかな》(2L 171SABD)が「第65回グラミー賞」の「ベスト・イマーシヴ」と「ベスト・エンジアド」のアルバム部門にノミネートされたモッテン・リンドベルグ Morten Lindberg のプロダクションによる録音です。
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