★1970年にKappレーベルからリリースされ、伝説のシンガーソングライター、リンダ・パーハクスが70年代に残した唯一の作品『Parallelograms』が180g重量盤にてオフィシャルリイシュー。
★リンダ・パーハクスは、1943年アメリカ/カリフォルニア出身のサイケデリック・フォーク・シンガー。1960年代後半にトパンガ・キャニオンへ移住し、南カリフォルニア大学在学中に出会った教授の下で歯科衛生士として働いていたパーハクスは、その傍らでいくつか曲を書いていた。当時、歯科顧客の1人だったオスカー受賞映画作曲家のレナード・ローゼンマンに一目置かれ、彼女のデモに感銘を受けたレナード・ローゼンマンは、1969～1970年にかけて彼女をスタジオに連れて行き、最初のアルバム『Parallelograms』を制作した。
★今作『Parallelograms』は、2014年にセカンドアルバム『The Soul of All Natural Things』がリリースされるまで、リンダ・パーハクスの最初で唯一のアルバムだった。レナード・ローゼンマンがプロデュースを担当したが商業的に注目されず、レーベルがアルバムのプロモーションに消極的だったことに落胆したパーハクスは、その後、本業であった歯科衛生士としてのキャリアに戻ることになる。
★しかし、その後30年あまりの間に、レコード愛好家たちの流行が広まりこのアルバムは徐々にカルト的な人気を獲得していった。また、Daft Punkの映画「エレクトロマ」のサントラ(“If You Were My Men”)としても使われたことでさらにその名を広めることとなった。(残念ながら今作には未収録だがぜひ聞いてほしい神曲です。)
★壊れやすく幽玄なメロディック・アシッド・フォークと、完璧にレンダリングされたエレクトロニック・エフェクトを組み合わせ、パーハクス自身が思い描いた""ヴィジュアル・ミュージック""を表現した構成になっている。彼女のギターと歌声にスポットライトがはっきりと当てられ、まるでジョニ・ミッチェルのファースト・アルバムに収録された曲やプロダクションの、余裕のある孤高の雰囲気を即座に想起させる。パーハクスは、ミックスに珍しいエフェクトやアレンジを加えるのが得意で、今作にはマイルドで不穏なサイケデリックな雰囲気もある。時には魅力的なフォーク・ジャズのバックアップもあり、時にはギターがあり、時にはオルガンやエレキ・ギターの独創的な滲みが今作を盛り上げ、非常に音楽的に長けた一枚である。