ルイーズ夫人のための音楽

17世紀の女スパイゆかりの音楽集

  • アーティスト:アンサンブル・レヴィアタン、ルシル・テシエ
  • レーベル:HARMONIAMUNDI
  • 品番:HMN-916119
  • ジャンル:ジャンルクラシック音楽史/古楽
  • 価格:オープン価格
  • 形態:CD

TRACK LIST

ルイーズ夫人のための音楽

[田舎の音楽]
1. ジョン・フロウ(1649-1708):羊飼いよ、みなおいで Come shepherds all (『ヴィーナスとアドニス』より)
ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687)
2. 漁師のためのエア (アルチェステ、またはアルシードの勝利 LWV 50より)
3. 歌え、踊れQue l’on chante (アティス LWV 53より)
4. ブレー(ヴェイルサイユの王の大喜遊曲 LWV 38)
マシュー・ロック (ca. 1621-1677)
5. Lilk (テンペストより)
ヘンリー・パーセル (1659-1695)
6. それゆえ、あなたのつまらない神と Hence with your trifling deity (アテネのタイモン Z. 632)
7. 作曲者不詳:おろかな英国 De foolish English nation (The Comical History of Don Quixote)
8. ジョン・ブロウ:この甘い木立で In these sweet groves (Venus and Adonis)

[ソフトな音楽]
9. リュリ:みな、眠れDormons, dormons tous (アティス LWV 53)
パーセル:
10. エア (Bonduca, or the British Heroine, Z. 574)
11. ホーンパイプHornpipe (Bonduca, or The British Heroine, Z. 574) 1’21
12. 準備せよ、祭りが始まる Prepare, the rites begin (テオドシウス、または愛の力 Z. 606より)
13. 見よ、夜だってそこに (妖精の女王 Z. 629より) EL 4’27
14. サムエル・エイクロイド(1684-1706頃に活躍):フランスから最近来たにやけた男が歌う新しい歌(A new song sung by a fop newly come from France)
ジョン・ブロウ:
15. フルートのための楽曲(ヴィーナスとアドニス)
16. ヴィーナス!アドニス!(ヴィーナスとアドニス)
マシュー・ロック:
17. ヴィーナス降臨のためのシンフォニー(Symphony for the descending of Venus)(プシケ)

[狂気の歌]
18. リュリ:この芝のなんという緑!Que ces gazons sont verts ! (Roland, LWV 65)
19. マシュー・ロック:悪魔と怒りの歌(プシケより)
20. リュリ:黄泉の国の祭りのエアAir de la fête infernale (Alceste ou le Triomphe d’Alcide, LWV 50)
21. 作曲者不詳:暗黒の牢獄からForth from the dark and dismal cell
22. ジョン・エックレス(1668-1735):Oh! Take him gently from the pile (Cyrus the Great, or The Tragedy of Love)

[嘆きの歌]
23. リュリ:天よ!私をつつむ空気 Ciel ! Quelle vapeur m’environne (Atys, LWV 53)
24. ジョン・ブロウ:ほら!ヒバリやヒワの声が(ヘンリー・パーセル氏の死に捧げるオード)

ルシル・テシエ(リコーダー、バロック・オーボエ、バロック・バスーン)、アンサンブル・レヴィアタン
録音:2021年9月、サル・コルトー、パリ

★フランスのマルチ楽器奏者、ルシル・テシエ率いるアンサンブル・レヴィアタン(リヴァイアサン、海中の聖獣のこと)による、17世紀英国の音楽集。17世紀英国、といってもその切り口は実に興味深いもので、当時活躍した女スパイゆかりの音楽集となっています。
★ルイーズ・ド・ペナンコエ・ド・ケルアイユ(ルイーズ夫人)は、ルイ14世に雇われたスパイで、チャールズ2世(1630-1685、王位1660-1685)の愛人でした。最初はチャールズ2世の王妃キャサリン付きの女官としてロンドンの宮廷に入り込み、チャールズ2世の寵愛を受け、ポーツマス侯爵夫人という称号まで与えられます。彼女はルイ14世から、太陽王の影響がイギリスにも及ぶように命じられていました。チャールズ2世はたいへんなフランス趣味で、王位につくと、ルイ14世にならって弦楽合奏団(24のヴァイオリン)を結成、宮廷や礼拝堂では、フランス人や、フランスで学んだ音楽家を雇いました。また、英国の音楽家をフランスに派遣したりと、フランスの芸術を英国に取り入れようとしました。そんな中ルイーズも、独自の音楽施設まで与えられ、そこでリュリのオペラからの楽曲を楽員に演奏させるなど様々な催しを開いていました。チャールズ2世はこれを喜びましたが、彼がますますフランス趣味になることはルイ14世の意図と合致。ルイーズは非常にうまく立ち回りながら、文化的・政治的な目的を遂行したのです。さらに音楽家たちも、チャールズ2世宮廷の動向を、フランスに報告したりもしていたようです。しかしそんなルイーズのおかげもあって、英国でも豊かで華麗、かつ表現力豊かなレパートリーが生み出されることとなったのです。こうした視点からプログラムされた音楽を聴いていると、海峡で隔てられた国同士の音楽でも、器楽の編成や書法などに似た部分が感じられ、大変興味深いです。
★ルシル・テシエはパリ国立高等音楽院やバーゼル音楽院などで学んだ、様々な楽器を演奏でき、さらに歌も歌えるプレイヤー。コンセール・スピリチュエル、レザール・フロリサンなどでも活躍しています。さらに、2016年からソルボンヌ大学で「英国の舞台音楽の狂気」について研究もしています。2015年、アンサンブル・レヴィアタンを設立。17世紀の英国の舞台音楽を中心としたレパートリーで活動をスタートさせますが、現在ではイタリア、ヘンデル、フランス音楽など、主にバロック期の作品に多く取り組んでいます。

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