★1961年生まれ、デトロイト出身のサックス奏者、アレックス・ハーディングと、1969年生まれ、ルーマニア出身のピアニスト、ルシアン・バンによる最新デュオ作品。
★グローバー・ワシントン・ジュニアに出会ったことで、ドラマーからサックスに転向し、モータウンとも縁深かったルーツをもつハーディングと、東ヨーロッパで育ったルシアン・バン。ブルースをベースにもったジャズ表現、即興性の強いアヴァンギャルドな表現において、親和性を持つ両者。90年代に双方の知り合いを通してNYで出会ってから20年、その積み重ねを感じさせる濃密な表現が結実。
★本作は、彼らの音楽が独自のアンサンブルで展開される一方で、その同調した仲の良さを浮き彫りにしている。旧友である即興チューバ奏者として知られるボブ・スチュワート、長年のコラボレーターでありニューヨーク・ジャズ・シーンの常連であるドラムのブランドン・ルイス、ECMなどでのバンとの共演作でも知られるヴィオラのマット・マネリを加えることで、2人の音楽の世界をさらに橋渡しするアンサンブルを結成。
★フィーリング、サウンド、色彩においてブルースの影響も見られつつ、音色は神秘的。チューバこそジャズの王道的なサウンドに通じるが、バンはフェンダー・ローズを使い、マネリはエレクトロニック・エフェクトを使うことで、コンテンポラリーな、アフロ・フューチャリスト・ミーツ・ニューミュージックの色合いを出している。