★伝説的グループ“イラケレ”の黄金時代をチューチョ・バルデスやアルトゥーロ・サンドバルらと共に彩り、ドミニカ共和国から渡米したばかりのミシェル・カミロをいち早く自身のバンドに抜擢。半世紀以上にわたって国際的な活動を続けるキューバ出身の世界的サックス/クラリネット奏者、パキート・デリベラが、またしても話題作を発表。Sunnysideと提携する“Paquito Records”からのリリースですが、今回はパキート自身の単独リーダー作ではなく、スペイン・バルセロナで活躍する4名のリード楽器からなる“バルセロナ・クラリネット・プレイヤーズ”に、パキートが合流した大変にユニークな作品です。
★パキートと共にフィーチャーされるのは、マヌエル・マルティネス、ハビエル・ビラプラーナ（以上クラリネット）、マルト・グアステフ（バセットホルン：クラリネット属の古楽器）、アレハンドロ・カスティージョ（バス・クラリネット）という、ジャズ、室内楽、バロックに精通する凄腕ばかり。木管の持つ音色の柔らかさ・美しさを生かしたアンサンブルはもちろんのこと、ソロでもたっぷり名人芸を届けてくれます。パキートはクラリネットのほか、アルト・サックスでも快演を繰り広げています。
★収録曲はすべてパキートのオリジナル。なかでも組曲形式のM8～M10「Fantasías Barcelónicas」はジャズ・ピアニストのテテ・モントリュー、小説家のカルロス・ルイス・サフォン、オペラ歌手のモンセラート・カバリェ、画家のジョアン・ミロ、建築家のアントニ・ガウディ等、カタルーニャ地方とゆかりの深い人物へのトリビュートを込めた書きおろし。バルセロナ・クラリネット・プレイヤーズからの委嘱を受けて作曲された、文字通りの意欲作。M2「Monk-Tuno」、M5「Wapango」（ともに1982年のアルバム『Mariel』に収録）など、ベテラン・ファンにおなじみの楽曲が、新アレンジで披露されているのも聴きものです。
★リズム・セクションの参加がないにもかかわらず、バルセロナ・クラリネット・プレイヤーズとパキートの合奏は、大変な躍動感とパッションに溢れています。アナ・コーエン、ドン・バイロン他の活躍で、再認識が進みつつあるクラリネットの魅力を改めて伝える力作です。