バルツ・トリュンプ(1946-):作品集

スイスの作曲家、バルツ・トリュンプの作品集
当時の前衛音楽の主流、セリエリズムや偶然性と路線を異にした
トリュンプが追求した独自の美しさ

  • アーティスト:エル・シマロン・アンサンブル
  • レーベル:WERGO
  • 品番:WER-7335
  • ジャンル:ジャンルクラシック現代音楽
  • 価格:オープン価格
  • 形態:CD
  • 収録時間:75:53

TRACK LIST

バルツ・トリュンプ(1946-):作品集

1. バラード~ギターのための
2. マリンバのための5つの小品
3. エオリアンソング~フルートのための
4. 4つのデュエット~マリンバとギターのための
5. シビュラの託宣~ソプラノ、バリトン、フルート、打楽器のための

エル・シマロン・アンサンブル
録音:2014年9月3日-6日、12月5日/チューリッヒ

★スイスの作曲家、バルツ・トリュンプの作品集。セリエリズムや偶然性など、彼が若いころ全盛期だった前衛音楽とは違う路線を歩み、彼にとっての「美しい音楽」を追い求め続けているトリュンプ。故郷スイスの山に囲まれた空の高さやギリシャ神話への傾倒など、豊かな創作のバックグラウンドから紡ぎ出される彼の音楽を、様々な楽器や編成で多角的に味わうことができるアルバムです。
★CD最初におさめられているソロ3作品(ギターソロ、マリンバソロ、フルートソロ)は、どれもそれぞれの楽器から引き出す多様な表情や語り口、聴き手を掴む展開が魅力的な作品。20世紀を代表する作曲家、ルチアーノ・ベリオのアシスタントをしていたこともあるというトリュンプですが、これらのソロ作品はベリオのソロ作品シリーズ「セクエンツァ」の世界を思わせながらも、トリュンプ独自の歌心を感じさせます。
★マリンバとギターのための「4つのデュエット」は、性格も音の出る仕組みも全く異なる2つの楽器の会話。双方のそれぞれに個性的な音色が重なることにより生まれる陰影や独特な音の手触りが特徴的です。このディスクで1番大規模な作品「シビュラの託宣」は、ソプラノ、バリトン、フルート、打楽器によるアンサンブル。本CDの演奏を手掛けるエル・シマロン・アンサンブルのために書かれ、同アンサンブルのメンバーに献呈されています。西洋古典文学の中でアエネアスの冥界への旅路に同伴した女性とされる預言者、クマエのシビュラを題材に取ったこの作品で、フルートは同じく冥界来訪の神話で知られるオルフェウスの楽器として、またモーツァルトのオペラ「魔笛」のように異界から身を守るものとして、暗示的に使われます。フルートと絡み合い、縁どるようなソプラノや、ファルセットと低音域を行き来するバリトン、それを煽るような打楽器が描くシビュラの嘆きと恍惚は呪術的な雰囲気を醸し出し、聴き手を異界に導くようです。
★エル・シマロン・アンサンブルは、20世紀ドイツを代表する作曲家ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの作品「逃亡奴隷(エル・シマロン)」を始めとする現代作品の演奏で知られ、ザルツブルク音楽祭など数々の音楽祭出演など国際的に活躍する団体。初演も多数行い、多くの作品がエル・シマロン・アンサンブルに献呈されています。トリュンプが作り出す音の迷宮に、誘われるままに迷い込んでみてはいかがでしょうか。

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