世界のレーベル博物館

PENTATONE

PENTATONE

 2001年オランダで設立。ハイエンド、マルチチャンネル・サラウンド・レコーディングに特化したクラシック音楽専門のレーベル
 1998年にフィリップス・クラシックスの技術者陣(Job Maarse、Dirk van Dijk、Giel Bessels)が新会社「ポリヒムニア・インターナショナルPolyhymnia International」を立ち上げ、同社はPENTATONEの録音とマスタリングを一手に手がけている。PENTATONE とPolyhymniaの両社はオランダの国境にあるバーンに拠点を置き、同じ敷地内に事務所をかまえているためレーベルと録音チームの連携はスムーズだ。

ポリヒムニアのスタジオ

(ポリヒムニアのスタジオ)



フィリップス・クラシックスのレコーディングスタジオ

(1973年当時フィリップス・クラシックスのレコーディングスタジオとして使用)


 録音チームとソリストとの信頼関係が録音で最も大事な事のひとつだと、長年PENTATOENでバランス・エンジニアを務めるジャン=マリー・ヘイセン氏は言う。経験豊富で専門的なエンジニアがオーケストラの各楽器、演奏者を最大限に活かす方法を常に導き出し、アーティストがそれに応える。録音チーム全員の間で素晴らしい化学反応を起こすことを目指していると言う。
 またプロデューサーは必ずしも高いサンプリングレートを求めて録音しているわけではなく、PENTATONE品質の優れた音、及び芸術的な質が高いものを積極的にリリースしていく方針だ。


ジャン=マリー・ヘイセン氏

(ジャン=マリー・ヘイセン氏)


 そしてそれには優れたアーティストたちとの関係というのが非常に重要だ。これまでにマレク・ヤノフスキ、ミハイル・プレトニョフ、児玉麻里、アラベラ・美歩・シュタインバッハー、アリサ・ワイラースタイン、ユリア・フィッシャー、ヨハネス・モーザー、マット・ハイモヴィッツ、ウラディーミル・ユロフスキ、アンドレス・オロスコ=エストラーダ、山田和樹など、巨匠から若手まで注目の奏者を揃えている。近年は、ピエール=ロラン・エマール、トーマス・ハンプソン、エサ=ペッカ・サロネン、マレク・ミンコフスキ、ピョートル・ベチャワ、マグダレーナ・コジェナーなど国際的に活躍する演奏者と契約を結び、さらにこれまであまり録音されていなかった声楽作品、バロック音楽などのレパートリーの拡大にも力を注いでいる。




Mari Kodama 
児玉麻里
Mari Kodama

 大阪生まれ。6歳で渡欧。14歳の時に最年少、最優秀でパリ国立高等音楽院に入学。ピアノをジェルメーヌ・ムニエ、タチアナ・ニコラーエワ、アルフレッド・ブレンデルに、室内楽をジュヌヴィエーヌ・ジョア・デュティユに学ぶ。17歳でプルミエ・プリを獲得して卒業。同年、同音楽院のマスター・コースに進み、19歳で修了。この間、数多くのコンクール等で、優勝、上位入賞を果たす。
 同音楽院を修了後すぐに、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とバービカン・センターで共演、ロンドン・デビューを果たす。更に同年、クィーン・エリザベス・ホールで、ロンドンでのリサイタル・デビュー。「これほど若くて感受性に富んだピアニストには会えない...」と賞賛された。1995年にはカーネギー・ホールでニューヨーク・デビューを果たす。また1999年からロサンジェルスにて、2003年から東京の浜離宮朝日ホールにて、「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全曲演奏会」に取り組み、高い評価を得た。
 現在、ヨーロッパ、アメリカ、日本、アジアで演奏活動を展開する数少ない国際的なピアニストとして名声を確立している。
 録音も多く、「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集」「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集」「ショパン:ピアノ協奏曲第2番」などをリリースし、高い評価を集めている。また妹の児玉桃と共演した「チャイコフスキー・ファンタジー」は全世界で話題となり、現在もベストセラー盤となっている。


ピアノによるベートーヴェン・弦楽四重奏曲

Alisa Weilerstein  
アリサ・ワイラースタイン
Alisa Weilerstein

 1982年生まれ。父はクリーヴランド弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者だったドナルド・ワイラースタイン、母はピアニストのヴィヴィアン・ワイラースタイン。4歳でチェロを始める。13歳でクリーヴランド管弦楽団とチャイコフスキーの《ロココ風の主題による変奏曲》を共演した。クリーヴランド音楽院でリチャード・ワイスに師事。コロンビア大学ではロシア史学を修めた。2010年、ダニエル・バレンボイム&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とエルガーの《チェロ協奏曲》を共演。2012年にバレンボイム&ベルリン国立歌劇場管弦楽団とエルガーやエリオット・カーターの《チェロ協奏曲》を、2015年にはパブロ・エラス・カサド&バイエルン放送交響楽団とショスタコーヴィチの《チェロ協奏曲第1番》《第2番》の録音を行った。同時代の音楽にも熱心に取り組み、彼女のために書かれたパスカル・デュサパンやマティアス・ピンチャーの新作チェロ協奏曲を世界初演している。2018年にPENTATONEレーベルへ移籍後に初リリースしたハイドンのチェロ協奏曲集[KKC5949/ PTC5186717]も、瑞々しい快演が高い評価を得た。


J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)

Arabella Steinbacher  
アラベラ・美歩・シュタインバッハー
Arabella Steinbacher

 1981 年、ミュンヘンで、ドイツ人の父と日本人の母に生まれ、3 歳の時からヴァイオリンを始める。9 歳の時に、ミュンヘン音楽学校でアナ・チュマチェンコ教授の最年少の生徒となった後、巨匠イヴリー・ギトリスからも多大な音楽的影響と指導を受けた。2001 年、アンネ=ゾフィー・ムター財団の奨学金を獲得した。世界のメジャー・オーケストラと共演を重ね、国際舞台で活躍する第一線のヴァイオリニストとして、既に確固たる地位を確立している。
 CD はこれまでにエコー・クラシック賞など多数受賞しており、最近では専属契約を結んでいるペンタトーン・クラシックスより「フランク:ヴァイオリン・ソナタKKC-5415/PTC-5186470)」、「メンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(KKC-5439/PTC-5186504)」等をリリースし、いずれも高い評価を獲得している。使用楽器は、日本音楽財団貸与のストラディヴァリウス「ブース」(1716 年製)


ヴィヴァルディ:『四季』&ピアソラ:『ブエノスアイレスの四季』

Marc Minkowski  
マレク・ミンコフスキ
Marc Minkowski

1962 年生まれ。ファゴット奏者として様々な古楽団体の演奏に参加。並行して若い頃から、アメリカのピエール・モントゥー・メモリアル・スクールにて、シャルル・ブルックに指揮法を師事。19 歳の時、バロック音楽の復興を目指してレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルを設立。フランスのレパートリー(リュリ、ラモーなど)、ヘンデルらの作品に始まり、モーツァルト、ロッシーニ、オッフェンバック、ビゼー、そしてワーグナーにも取り組んでいる。パリ・オペラ座にも定期的に出演するほか、フランス内外の歌劇場でも絶大な人気を誇っている。ドイツ、アメリカなどのオーケストラとも共演多数。近年設立されたカタール・フィルハーモニー管弦楽団でも指揮している。古楽にとどまらず、モダン・オケおよび現代音楽の演奏も積極的に行っている。 


モーツァルト:ミサ曲 ハ短調【エーダー版】

Piotr Beczala  
ピョートル・ベチャワ
Piotr Beczala

1966 年ポーランド最南部のチェホヴィツェ=ジエジツェ生まれ。カトヴィツェで音楽を学び、その後リンツ州立劇場での活躍を経て、1997 年よりチューリッヒ歌劇場に所属。それ以後めきめきと頭角を現す。1997 年ザルツブルク音楽祭に「魔笛」タミーノでデビューして以来、同音楽祭には定期的に出演。またスカラ座には2006 年「リゴレット」デュカ、「ボエーム」ロドルフォと続けて出演、2013/14 シーズンでは新演出の「椿姫」でアルフレード役を務めた。2016/17 シーズンは、シカゴ、ニューヨーク、ベルリン、バルセロナ、ウィーン、チューリッヒの劇場に登場。またCDや映像の録音も多数あり、その声の美しさ、また類まれなる演技力に高い評価が集まっている。


『私は勝つ!~イタリア・オペラ・アリア集』

Magdalena Kozena   
マグダレーナ・コジェナー
Magdalena Kozena

1973年、チェコのブルノ生まれ。ブラチスラヴァ芸術大学でエヴァ・ブラホヴァに師事し、1995年のザルツブルク・モーツァルト国際コンクール優勝を初めとして、多くのコンクールで輝かしい成績を収めた。バロック音楽に深い関心を寄せ、グルックの「オルフェオとエウリディーチェ」やモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」などのオペラはもとより、バッハ、ヘンデルのアリアやカンタータのコンサートにも積極的。また、自国の作曲家マルティヌーの作品の演奏にも熱心である。


『ソワレ』~マグダレーナ・コジェナーと仲間たち

Marek Janowski  
マレク・ヤノフスキ
Marek Janowski

ヤノフスキは1939年2月にワルシャワ生まれ。幼くしてドイツへ移りヴッパタールで育ち、ケルン音楽大学を経てウィーンやシエナで更なる研鑽を重ねた。アーヘンやケルン、デュッセルドルフの歌劇場でコレペティトゥーアとしての修行を積んだ後、64年にケルン歌劇場の第1カペルマイスターに就任し本格的なキャリアをスタートさせる。69年にはハンブルク州立歌劇場の首席指揮者、75 年にはデュッセルドルフ歌劇場の首席指揮者となりカペルマイスターとしての評価を確立。この頃からシュターツカペレ・ドレスデンとも関係を深めて80年代末まで密接な恊働関係にあり、それは80年から制作の始まったドイツ・シャルプラッテンとオイロディスク、そして日本コロンビアの共同による「指環」全曲録音への抜擢へと繋がった。83~ 87年にはロイヤル・リヴァプール管弦楽団の常任指揮者、86~90年にはケルン・ギュルッツェニヒ管弦楽団の音楽監督を務めたが、ヤノフスキの実力は、89年からフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任してこの若いアンサンブルを一気にフランスを代表する存在へと引き上げたことによって国際的な名声へと結びついた。その後、2000年にはレーニエ大公父娘のたっての希望で、彼のために編成を拡充したモンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任。この間、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督をも兼務。そして05年から12年までスイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者を務め、現在は02年から引き続きベルリン放送交響楽団の首席指揮者の地位にある。


ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第6番「田園」

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